EPA、DHAを含むサプリメント中の遊離脂肪酸の分析を行いました。
遊離脂肪酸の分析はメチル化した試料を分析するのが一般的です。この分析は試料をクロロホルムに溶解し、直接分析する方法と、クロロホルムに溶解した試料にメチル化剤を添加した試料とで行ないました。
クロロホルムに溶解し直接分析を行ったTICを図-1に示します。
図-1 クロロホルムに溶解し直接分析を行ったTIC
1:Heptadecene-(8)carbonic acid-(1)、 2:Stearic acid、 3: 5,8,11,14,17-Eicosapentaenoic acid、 4: 4,7,10,13,16,19-Docosahexaenoic acid、 5: Cholesterilene、 6: Glycerol trioctanoate + Tocopherol、 7: Tocopherol、8: Tocopherol、 9: alpha.Tokoherol
次に、クロロホルムに溶解した試料にメチル化剤を添加した試料を分析したTICを以下に示します。使用したメチル化剤は、Tetrametylammonium hydroxide,25w% in methanol(略称: TMAH)で、クロロホルムに溶解した試料溶液1mlに20μl加え、そのままGCに注入し、GCの注入口の熱で瞬時に試料のメチル化を行い、そのままカラムに導入し分析を行いました。
図-2 クロロホルムに溶解した試料にメチル化剤を添加した試料のTIC
1: Octanoic acid, methyl ester、 2: Decanoic acid, methyl ester、 3: Myristic acid, methyl ester、4: Palmitoleic acid, methyl ester、5: Hexadecanoic acid, methyl ester、6: Heptadecanoic acid, methyl ester、7: Methyl stearidonate、8: Linoleic acid, methyl ester、9: Oleic acid, methyl ester、10: 11-Octadecenoic acid, methyl ester、11: Stearic acid, methyl ester、12: Nonadecanoic acid, methyl ester、13: Arachidonic acid methyl ester、14: 5,8,11,14,17-Eicosapentaenoic acid, methyl ester、15: Methyl 8,11,14,17-eicosatetraenoate、16: cis-11-Eicosenoic acid, methyl ester、17: Eicosanoic acid, methyl ester、18: Methyl 4,7,10,13,16-docosapentaenoate、19: 4,7,10,13,16,19-Docosahexaenoic acid, methyl ester、20: Methyl 7,10,13,16,19-docosapentaenoate、 21: 13-Docosenoic acid, methyl ester、22: 15-Tetracosenoic acid, methyl ester、23: alpha.-Tocopherol
試料の直接分析を行った場合と、メチル化を行なった場合では異なったTICが得られています。
試料を直接分析した場合は、微量のEPAとDHAは検出されていますが、他の遊離脂肪酸は殆ど検出されていません。また、抗酸化剤と思われるトコールのメチル化体である4種類のトコフェロールが検出されています。
一方、メチル化を行なったTICからは、DHAを主ピークとしてEPAも強いピークとして検出されています。更にオレイン酸を始めとして多くの遊離脂肪酸がメチル化体として検出されています。
以上の結果より遊離脂肪酸の分析には、メチル化は有効な方法である事がわかります。